「なんで問題用紙も解答用紙も返ってこないの?」
そう思ったこと、ありませんか?
オーストラリアの公立校では、テストのあとに問題用紙が回収されることがよくあります。
その理由、実はとてもシンプルです。
翌年、同じテストをまた使うことがあるから。
え、そんなのアリ?と思った方。
でも、これはオーストラリアの学校では結構 “当たり前”のことなんです。
では、どれくらい使い回されているのか、日本との違いは何かを詳しく見ていきましょう。
だから、問題用紙と採点済の解答用紙が返ってこない

「え?問題用紙も採点済の解答用紙も、持ち帰れないの?」
現地校に留学した日本人なら、必ず疑問に思ってしまいます。
でも実は、それにはちゃんとした理由があるんです。
オーストラリアの学校では、テストのあとに問題用紙も解答用紙もすべて回収されるのが一般的。
それは単に「面倒だから」でも、「保管のため」でもありません。
再利用する前提で作られているから。
つまり、来年もまた同じ問題を使うかもしれないからなんです。
問題が手元に残っていれば、生徒同士で共有されてしまう可能性もありますよね。
そうなると、不正につながってしまうおそれも。
「だったら最初から出題内容を変えれば?」と思うかもしれません。
でも、そこには教育文化の違いが関係しています。
日本ではテストが“成績そのもの”。
でも、オーストラリアでは日々の授業態度や課題(アサイメント)提出が重視され、
テストはあくまで“ひとつの目安”にすぎません。
だから、毎回凝った問題を用意する必要もなく、過去の問題を上手に再利用するほうが合理的と考えられているんです。
さらに、先生の作業負担を軽くできるという面でもメリットがあります。
そしてもうひとつ。
問題を学校の中にとどめておくことで、学年全体や年度をまたいだ成績比較がしやすくなる。
つまり、学校としての評価制度を維持するうえでも、これは大事な仕組みなのです。
だから、返してもらえないのは不親切なのではなく、ちゃんとした教育方針に基づいた判断。
ある意味、それは学校全体の信頼性や評価の一貫性を守るための工夫なのかもしれません。
一方、日本ではどうなのか?

一方、日本ではこんな特徴があります。
- テスト問題は、毎年オリジナルで作ることが多い
- 問題用紙や答案は、生徒に返されるのが普通
- 進学校では、再利用はご法度に近い
一言でいえば、「テストは毎回、新しいものを作るのが基本」です。
もちろん、すべての学校がそうではありません。
一部の公立校では、過去の問題を一部使い回すケースもあります。
でも、全体としては「前年と同じ問題を出すのは避けよう」という空気感があります。
特に、進学校や私立校では「テストはオリジナルであるべき」とする風潮が強く、先生たちが毎回、頭を悩ませながら新しい問題を作っています。
なぜ、そこまでして新しい問題にこだわるのか?
それは、生徒一人ひとりの理解度や実力を、できるだけ正確に測りたいという思いがあるから。
「去年の問題で大体できる」ではなく、今年の学びに合わせた出題で、今年の力を測りたい。
そんな考え方が、日本の教育現場には根付いています。
また、テストが終わったあとは、問題用紙も答案も基本的には生徒に返されます。
そのため、生徒たちは「どこを間違えたか」「次にどう対策すべきか」を振り返ることができます。
違いを表でまとめると
項目 | オーストラリア(公立) | 日本(公立・私立) |
---|---|---|
テスト問題の再利用 | 一部〜多く再利用される | 一部で再利用されるが新作も多い |
問題用紙の回収 | 多くの学校で回収 | 基本的に返却される |
教師の作問方針 | 業務軽減のため再利用重視 | 教師による自由度が高く多様 |

まとめ:どちらが正解、ではなく「文化の違い」
オーストラリアでは、効率と一貫性が大事にされている。
だからテストもシンプルで合理的。
日本では、個人の理解度を細かく測る文化がある。
だから毎回オリジナル問題を用意し、生徒も対策を重ねる。
どちらが良い・悪いではありません。
ただ、「学びの設計図」が国によってこんなに違うんだということ、
それだけでも、ちょっと面白いですね!