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オーストラリアにいる飲食店経営者に聞きたい!お店のBGMってどうしてます?

ジャパレス経営

オーストラリアにおけるお店で流すBGMの著作権に関しては、レストランやカフェの現オーナーさんもしくはこれから経営してこうとしている人以外には全く興味がないであろう話であり、需要もない内容だと思います。なので、正直なところこの記事を書くか迷ったのですが、もしかしたら少数であっても役に立つ人がいるかもしれないので書くことにしました。

【注意】
トップのイメージ画像である APRA AMCOS のロゴは僕自身が見よう見まねで作ったものです。さすがに著作権を扱っている団体のロゴ画像を無断で使うことはできないので、このような不細工なロゴになっております。本物のロゴでは黄色のストライプが音波を表現しています。

たまに外食に行くと、お店によってはBGMが流れていたりします。それを聞くと、僕はどうしても『このお店は音楽著作権利用料を払っているのだろうか?』と思ってしまします。というのは、この国では音楽著作権利用料がかなり高額で、多くのスモールファミリービジネスにとっては決して気楽に払える安い金額ではないからです。

そこで、今回はここオーストラリアにおける音楽著作権の管理がどのような団体でなされており、著作権利用料がどれくらいするのかを紹介したいと思います。

オーストラリアにおける音楽著作権団体

かつて音楽はライブ演奏のみだったのが、ラジオ・テレビの普及により音楽は放送という形で使用され、さらには記録媒体(レコード、カセットテープ、CD、MD、HD)の進化により録音の方法も進化してきました。そして今では、手元の機器に音楽を保存することなくインターネット上で音楽を再生(ストリーミング)することが可能となっています。

音楽著作権は音楽の進化を追随する形で対応をしてきており、それに伴い音楽著作権団体も新たに設立されてきています。

日本では音楽著作権は日本音楽著作権協会(JASRAC)がすべて取り仕切っているが、オーストラリアでは複数の団体があるため、若干ややこしいです。各団体については簡潔にまとめてみました。

APRA とは

APRAはAustralasian Performing Right Association Limitedの略。1926年に設立された団体であり、ラジオ、テレビ放送、映画、会場でのライブ演奏、ネット等、公共の場で演奏される音楽の著作物を対象に著作権を管理する団体(演奏権管理団体)。本団体は、作曲家、作詞家、音楽出版社より著作権に関して委託されています。

AMCOSとは

Australasian Mechanical Copyright Owners Society Limitednの略。1979年に設立され、あらゆる形式の音楽の複製、コピー、保管を管理している団体(録音権管理団体)。CD・DVDその他媒体に収録した音楽、またはストリーミングにおいて、商業的に複製または販売されるたびに使用料が発生します。

APRA AMCOSとは

1997年に演奏権管理団体であるAPRAと録音権管理団体であるAMCOSが提携し、APRA AMCOSという名前のWebサイトを共同で運営しています。

PPCAとは

Phonographic Performance Company of Australia Ltdの略。ミュージックビデオや録音された音楽、ブロードキャストに関する著作権を管理している団体。
この団体が管理する著作権はAMCOSと一部被っています。

OneMusicとは

2019年APRA AMCOSとPPCAより別々にライセンス取得をなくすために、OneMusicが共同設立。

音楽著作権使用料の請求はある日、突然やってくる

僕の場合、オーストラリアで飲食店のビジネスを購入した直後から何も考えずに毎日BGMを流していました。というのも前オーナーさんも店で音楽を普通に流していたので、なにも問題がないと思っていました。

ところが飲食店経営をして2年が過ぎようとしていたある日、突然知らない団体(APRA AMCOS)からこんな題名のEメールが届きました。

『Did you know using Music in your Business requires a License』

なんじゃこりゃ?と思って開くと内容はこんな感じでした。

APRA AMCOS
APRA AMCOS

お前のとこお店で音楽流してるよな!

流すんなら使用料払わなあかんで。法律で決まっとるから。

なので、著作権使用料過去にさかのぼって2年分払えよ。

$557な!〇月〇日まで振り込んどいて!!

あぁ、音楽流してるのがバレたとその時は思いました。

けど流していたのは邦楽です。洋楽は流していないです。
(実はたまに洋楽も流してましたが、どうせバレないので流してないことにしました。)
邦楽の著作権はJASRACが管理しているはずだから、オーストラリアの著作権管理団体には関係ないはずです。だから払ってたまるかと思いました。
↑↑↑
完全に勉強不足です

JIN
JIN

お店では音楽を流してるけど、邦楽ですよ。
洋楽は一切流してないです。
それでも払う必要あるのですか?

ダメ元でこんなメールを返信したことを覚えてます。
そして、返ってきた返事が…

APRA AMCOS
APRA AMCOS

うちら、JASRACと管理契約締結しとるから、邦楽であっても著作権使用料発生するで!

オーストラリアで支払われた使用料の一部はJASRACに支払われとるからな。
だから、著作権使用料過去2年分払ってな!

完全に勉強不足で言い負かされました。
もう払うしかなさそうですが、悪あがきは続きます。

JIN
JIN

そうですか、わかりました。

それでは払います。

けど、僕の店でBGM流すようにしたのは半年前からだから、過去2年分は払えないな。1年分でいいよね!?

がっつり2年前から音楽流してましたが、そんな証拠はどこにもありません。
もし著作権団体が2年前から音楽を流していることを知っているようだったら、確実に請求はもっと早く来ていたはずです。
さすがに最近音楽を流し始めたでは嘘くさいので、ここは半年前から利用しているという体で利用料の値下げ交渉をしてみました。

APRA AMCOS
APRA AMCOS

半年前からの利用なら、過去1年分の支払でええよ。

それじゃ$278振り込んどいてな。

さすが、適当な国オーストラリア。なんの調査もせず、利用料の請求を1年分に減らせました。

ちなみにこの時、もう一つの著作権団体であるPPCAからは請求がきませんでした。当時はこの2団体間で連携がうまく取れていなかったので、片方からしか支払い請求が来なかったんだと思います。当然、来ない請求に関してこちらからわざわざ連絡はせず、支払はしていません。

オーストラリアでのBGM利用の著作権使用料

さて、先のAPRA AMCOSとのメールのやり取りでもちらっと著作権使用料がでましたが、具体的にいくらなのかを見ていきたいと思います。

著作権使用料に関しましては、現在 APRA AMCOS とPPCAは個別には徴収していないと思われます。現在は、両団体が共同で設立したOneMusicで著作権使用料を支払う形になっていますが、参考までに各団体個別の会費も記載しています。

APRA AMCOS の年会費

APRA AMCOS の年会費がこちらになります。

A) お店のHP(Website)のみで音楽を使用している場合は$167.15
B) お店でBGMとしてのみ利用する場合は$278.58
C) お店でBGMとして利用し、かつHPでも利用する場合は$354.55

ちなみにお店でライブパフォーマンスをしたりDJを呼んでの演奏をしている場合は別途会費がかかります。

PPCAの年会費

PPCAの年会費はメインの食事の平均額とアルコール類の提供の有無、そして座席数で下記の様に決定されます。

例として、客席数40席のカフェで、メインの食事の平均額が$15以下、お酒類の提供がない場合は、一日当たり$0.0379×40人=$1.516になります。
なので年額は$1.516×365日=$553.34です。

かなり高いです。

OneMusicの年会費

APRA AMCOSとPPCAが共同で設立させた団体OneMusicの年会費ですが、どの音源を使用するかで『ゴールド』、『シルバー』、『ブロンズ』に振り分けられます。

【ゴールド】
オンラインストリーミング、ダウンロードミュージック、有料音楽放送(日本で言うところの有線)、CD等、インターネットテレビ/ラジオ、地上波テレビ/ラジオ

【シルバー】
有料音楽放送、CD等、インターネットテレビ/ラジオ、地上波テレビ/ラジオ

【ブロンズ】
地上波テレビ/ラジオのみ

今の時代、音楽はストリーミングで流すか、もしくはスマフォにダウンロードしてBluetoothで飛ばして流すかが当たり前なので、ほとんどの飲食店は『ゴールド』に該当するのではないかと思われます。

各区分の年会費は下記表の通りです。

座席数に応じて料金が設定されており、2021年だとゴールドで$790~$1,635です。
そして利用料は毎年値上がりしていることがわかります。
これを見てしまうと、さすがに店で音楽を流すのを躊躇しちゃいますね。

オーストラリアで著作権使用料を払わずにBGMを流す方法

僕の経営している飲食店ではBGMを流していますが、著作権使用料は払っていません。もうだいぶ前にAPRA AMCOSに利用しないから費用は払わないと連絡しています。
では無断で音楽を流しているかというとそういうわけではなく、著作権フリーの音楽をYouTubeで流しています。

YouTubeで『Free』『Music』『No copyright』『BGM』などと検索すればいくらでも出てきます。

最新の音楽は流せませんが、無音よりはましです。
スモールファミリービジネスにとってオーストラリアでの音楽の著作権使用料はあまりにも高すぎます。
もし、現在無断で音楽利用している飲食店オーナーさんがいましたら、気を付けたいところですね。

【余談】JASRAC の著作権使用料

皆さんもご存じのように、日本では音楽著作権は日本音楽著作権協会(JASRAC)が取り扱っています。

たまにBGMを流していた飲食店に対して、JASRACが使用料支払いを求める調停を簡易裁判所に申し立てたというニュースが流れますよね。確かに、使用料をJASRACに支払いたくない気持ちは同じ飲食店経営者としてわかります。

ちなみに、JASRAC に支払う使用料はいくらなのかを調べてみると…

BGM利用の著作権使用料

店舗等の場合、面積が500㎡までの施設では、年額6,000円(別途消費税相当額を加算)で、JASRAC が管理するすべての楽曲が何曲でも利用できます

安い!
思っていた金額よりもかなり安いです。日本も年額10万円位かと思ってましたが、たかが6,000円です。NHK受信料よりも安いです。この程度の金額を払いたくないとかもはや意味がわかりません。

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